陳述書1

 本訴平成15年(ワ)第146号債務不存在確認請求事件
   反訴平成15年(ワ)第192号損害賠償請求事件
         原告(反訴被告) オリエント貿易株式会社
         被告(反訴原告) 峯村 ○○


         第2準備書面(反訴被告)

                     平成16年12月1日

山口地方裁判所宇部支部 御中

         原告(反訴被告)訴訟代理人   田中○○


              記

反訴被告は、反訴原告の平成16年8月9日付並びに平成16年1
1月16日付の準備書面に対して、次のとおり反論する。
また、反訴原告の従前の主張に対する反論についても、適宜、補足
する。
なお、本文中「東工ガソリン」とは東京工業品取引所石油市場の上
場銘柄である「ガソリン」のことであり、「東工灯油」とは東京工業品
取引所石油市場の「灯油」を指す。


 【目次】

第1.勧誘、契約手続きに違法がないこと
 1.反訴被告の勧誘と契約手続き、反訴原告の委託の状況
 2.反訴原告の主張に対する反論
第2.売買の受託に違法がないこと
 1.断定的相場観の提供、資金投入の強要、仕切り回避及び仕切り拒
  否等がないこと
 2.出金遅延及び出金拒否がないこと
 3.新規委託者保護義務違反がないこと
第3一反訴原告の平成16年4月12日付準備書面に対する反論
 1.同書面1、及び2、について
 2.薄敷きについて
 3、同書面4、「違法行為及び、疑問点一覧」、「問題点(全体)」及び
 「問題点(個別)」について
 4.同書面「取引経過一覧表」について
第4.乙第2号証乃至乙第4号証反訳文について

【本文】

第1.勧誘、契約手続きに違法がないこと

 1.反訴被告の勧誘と契約手続き、反訴原告の委託の状況
 (1)訪問と説明
 平成15年5月11日、反訴被告会社の営業員片野は反訴原告に
 架電し、会社名と氏名を告げ、商品先物取引の勧誘である旨、また、
その取扱い銘柄の中でも特に「東工ガソリン」を勧めている旨説明
し、面談を申し込んだ。
お金が無いと断ったが、しつこく勧誘された。
完全に違法である
 反訴原告は、片野から商品先物取引の勧誘である旨聞き、同日午
後7時過ぎ頃、片野を自宅に招くこととなった。
 片野は、上司である西田を伴って反訴原告宅を訪問し、西田が「商
品先物取引一委託のガイドー(甲第5号証)」に基づき、そのぺ一ジ
を追って商品先物取引の仕組みを説明した。
 その説明は、重要な箇所にはアンダーラインを引いて特に注意を
喚起し、反訴原告の理解を確かめながら進められたものであり、同
ガイド4ぺ一ジに記載の商品先物取引の危険性については、商品先
物取引は利益や元本が保証された取引ではないこと、預託した委託
証拠金の額を超えて損失が発生することもあること、取引所の措置
により意図する注文が執行されないことがあることを、反訴原告の
眼前で朗読し、特に強調して説明した。
 続いて西田は、西田らが推奨していた東工ガソリンについて、日
経新聞の商品市場面や反訴被告会社作成の営業パンフレットに基づ
いて、用語・語句の読み方とその意味、呼値、売買単位、限月、成
行/指値の注文の別、委託手数料の額、委託証拠金の額等の取引要
綱を説明した。
 西田は、ガソリン価格が今後値上がりすると予測して、東工ガソ
リンの「買い」を案内している旨述べ、持参の白紙用紙を使用して、
値が上がった場合、逆に値が下がった場合の損益計算の方法を書き
込みながら例示し、損益計算は<値動き幅×100×売買枚数>によ
り算出することを説明し、したがって思惑と反対に530円動けば、
損失が委託証拠金の半額を超えることとなり(※)、そのまま建玉を
維持するのであれぱ追加の証拠金として委託追証拠金が必要となる
ことを特に注意深く説明した。
 西田らは、ガソリンの値が上がると推測している根拠を新聞記事、
外電ニュース、チャートに基づいて説明した。
必ずあがる私を信用してくれと言っていた、推測でなく確実だと言っていた。
※530円×100kl(売買単位)=53,000円>52,500円(委託本証拠金の半額)
東工ガソリン、東工灯油の委託本証拠金は1枚105,000円

(2)契約手続き
 西田は、これまでの説明で不明な点や疑問点がないか確認し、反
訴原告より、商品先物取引の仕組みやガソリン価格の値動き要因に
ついて概ね理解した旨回答を得た。
 そこで西田が、東工ガソリンまたは他の銘柄で興味を持ったもの
があれば取引を検討して欲しい旨述べたところ、反訴原告より「ガ
ソリンは上がりそうだ。取引してみよう」との返答を得た。いつ言ったのか分からない。それに辞めたくなったらいつでも辞められると言っていた。
西田らはお礼を述べ、再度、損益の計算方法、追証を説明した。
この時、西田らは、反訴原告より預貯金が500万あると聞いて
おり、いつ行ったのか教えて欲しい400万円しか持っていない、また住宅ローンがあることも説明した。
説明に際して、委託証拠金525万円に相当する東工ガソリ
ン50枚を取引した場合を例にとり、損益計算の仕方、手数料の額
等を説明した。
 この説明に対し、反訴原告は、「取引資金はまず100万円くらい
としたい」と自ら申し出て、さらに「建玉は5枚とし、相場に慣れ
たい」との意向を明らかにしたので、西田は反訴原告の意向に従っ
た」
10万円位からならと言ったが100万以上じゃないと出来ないといった

 西田は、反訴原告に契約手続きを行いたい旨述べ、反訴原告に「受
託契約準則(甲第4号証)」を手渡し、同準則には「商品先物取引一
委託のガイド-」において説明したことの根拠条文が掲載されてい
るので同ガイドと共に手許において参照されたいこと、契約書面と
して同準則冒頭に添付している「先物取引口座設定申込書」、「取引
確認書」、「約諾書」、「委託証拠金預り証の発行を省略することにつ
いての同意書」について、それぞれの趣旨を説明した。
 反訴原告は上記契約書類に記入、署名、捺印した。
 西田は、前記書類を受領し、反訴原告に委託証拠金の入金の方法
について確認したところ、反訴原告より、翌5月12日午後12時
半頃、宇部新川駅そばの吉南信用金庫向かいのスーパー・ダイイチ
駐車場に集金に来るよう指示された。
 最後に西田は、契約手続きの一環として、反訴原告に、商品先物
取引のポイントや危険性について解説した12分ほどのビデオ(甲
第10号証「ピデオ反訳書」)を視聴してもらうこと、営業員の説明
において重要事項が欠落していたり、委託者が勘違いしている点が
ないかを確認するために反訴被告会社管理部員が反訴原告に電話で
ヒアリングを行うことを説明し、(こんな電話は受けた覚えが無いかも)ついては12日の集金の際にビデオを放映し、また、管理部の電話ヒアリングに臨んでもらうよう依頼し、5月12日午前0時30分頃、反訴原告宅を辞去した。

(3)委託証拠金の受領と発注
 平成!5年5月12日午後12時半頃、西田は約束とおりダイイ
チの駐車場で反訴原告と会い、西田が使用していた営業車両の車内
においてビデオを放映し、反訴原告がその放映を視聴した旨の「ビ
デオ放映確認書(甲第6号証)」を受領した。
 続いて西田は、自身の携帯電話から反訴被告会社管理部へ架電し
苦情相談センターの寺崎が電話口へ出たので、携帯電話を反訴原告
へ渡した。
 寺崎は、反訴原告に対し「新規確認事項(甲第11号証)」記載の
確認事項を問い、反訴原告が西田から正しく説明を受けていること
を確認し、営業員への要望や取引に関する不明点、疑問点があれば
何時でも管理部または苦情相談センターへ問い合わせるよう付言し
て電話を切った。電話しても、都合が悪いことにはごまかされたような気がする
 西田は、反訴原告に対し契約手続きが完了した旨述べ、建玉の枚
数、限月を確認した。
 反訴原告は、前夜の方針のとおり、東工ガソリン11月限を成行
で5枚買建ちするよう指示したので、西田は反訴被告会社営業部へ
架電し、発注した。

2.反訴原告の主張に対する反論
 (1)営業員の訪問は反訴原告の招請によること
反訴原告は、反訴原告陳述書(乙第18号証)第1取引の動機」
に記載のとおり、かねてより資産運用に興味を持っており、片野が
商品先物取引の勧誘である旨説明したので、話を聴いてみようと思
い、自ら時刻を指定して片野を自宅に招いたものである。
 また、反訴原告は、西田らに大いに質問を発し、西田らは懇切に
回答、説明した結果、面談の時問が5時問に及ぶこととなったもの
であり、西田らが反.訴原告宅に居座り反訴原告を困惑させたという
ことは無い。(深夜1時位まで、がたがた言われて困っていたことは事実です)
 反訴原告は、西田らが辞去してから委託証拠金を預託する5月1
2日の午後12時半頃までの問、取引を行うか否か、取引するとし
ても直ちに建玉するか否かについて検討する時問を有していたと考
えられるが、反訴原告は、約束・の時問に自ら委託証拠金を用意して
これを預託し、建玉を指示した。
深夜1時まで、家で話を聞かされその後寝て、朝8時から仕事に行って余計なことを考える時間は無い、勝手に第三者が判断することではない。
 反訴原告が、西田らの訪問、説明を迷惑なものと嫌悪し、または、
 西田らの説明に不明な点、納得がいかない点があると考えていたの
であれば、西田の再訪を待ち受け、白ら委託証拠金を用意してこれ
を預託し、建玉を指示したはずがない。
クーリングオフが出来ないと言っていたので、嫌でも契約したからお金を渡さないといけないと思った
 反訴原告は、西田らの説明に関心と熱意を持って聴き入り、ガソ
リン価格が値上がりしそうだと判断し、建玉を決断したものである。

(2)建玉枚数は反訴原告が指示していること
反訴原告は、西田が「10枚以上でないと(建玉)できない(反
訴状4ぺ一ジ14行目)」と説明したと主張するが、西田がそのよう
な説明をしたことはない。
現実に100万円渡した
 西田は50枚を売買した場合の損益計算例を掲げたが、反訴原告
が「最初からそんなに大きな額は考えていない」と述べたので、「ど
れくらいの枚数でお考えですか」と問い、反訴原告から「まずは1
0枚分の100万円くらい。最初は5枚くらいから建玉して相場に
慣れたい」と回答を得たので、これに従ったものである。
確実だから、こうしろと強要された、
 現実に、反訴原告は5枚の建玉から取引を開始した。
以降、反訴原告は5月28日まで何ら売買していない。反訴原告
は、新規建玉の日から、この問、取引への理解を深めるために「委
託のガイド」、「受託契約準則」を再読したはずであるし、また、そ
の時問は充分にあったものと考える。

 (3)「先物取引口座設定申込書(甲第3号証)」
「先物取引口座設定申込書(甲第3号証)」は、全て反訴原告の自
署捺印による。
「預貯金」欄は、自己の申告する額を任意に記入してもらう欄で
ある。記載された額が(過大、過少のいずれにしても)真実と異な
った場合、不測のトラブルを招く恐れがあるため、特に記入を強要
するものではない。
 したがって、商品取引員が、委託者の投下可能資産を知り、委託
者の資金の投入が過大とならないよう監視するための一次的な資料
は、同申込書「投下可能額」欄となる。
 反訴原告は、既に西田らに預貯金が500万円前後ある旨明らか
にしており、同欄にも「500万円」と記入したものである。
こんなに持っていないと言ったら500万円と記入するように言われた
 また、反訴原告は、平成16年3月17日付準備書面において「年
収に付いては500万円以上の所に記入してくれと言われたもので
ある。(1ぺ一ジ本文4行目)」と主張するが、同申込書r年収」欄
は、反訴原告が、「500万以上」に自ら印をつけたものであって、
 酉田らが「500万円以上の所に記入するように」と指示したこと
はない。こんなにないと言ったら500万円と記入するように言われた
 反訴原告は、反訴後、乙第7号証(「平成15年分源泉徴収票」)
により初めて所得を明らかにしたが、西田らには「月給35万円」
と告知し、後に管理部員青山にも同様に回答している。
いつ言ったのか、証明してもらいたいね。
35万円×12ヶ月で420万円となり、通常、この他に年2回
の賞与、一時金等が支払われることを考え合わせると年収500万
円以上となろう。こんなに有ったら嬉しいね!
大体500万も有ったら、中古の家じゃなくてしんちくをかっているね
反訴原告が契約当時40歳であったことや自己名義の一戸建住宅
を所有していることを考慮すると、反訴被告が、反訴原告が年収「5
00万円以上」に印を記したことに疑問を抱く理由は無い。
本人の言った事より、外務員の妄想の方が優先するような会社なのです。
(4)「増えた時点で元金の105万円を返還する(平成16年11月
16日付準備書面2ぺ一ジ12行目)」
反訴原告は、「増えた時点で元金の105万円を返還するように念
を押し、片野は了解した。(平成16年11月16日準備書面2ぺ一
ジ12行目)」と主張するが、増えた時点であろうとなかろうと、ま
た、元金の全部であろうと一蔀であろうと、反訴原告は、不足金、
未収金が発生しない限り、何時でも額と期日を指示して出金できる
のであり、営業員との約束など不要である。
でも、出金は全く聞き入れられなかった。
そもそも、取引の結果が利益となること自体約束できるものでは
ないことは、西田らが緩暖説明し、反訴原告が了知していることで
ある(甲第2号証「取引確認書」7,13、19)。
現実に増えている、契約時点で決済した時に出金以来をしたことになるが、無断売買で全額たち玉をしている

第2.売買の受託に違法がないこと
1.断定的相場観の提供、資金投入の強要、仕切り回避及び仕切り拒
否等がないこと 

         <総論>
反訴原告の取引銘柄は、東工ガソリンと東工灯油の2銘柄であり、
最初の建玉の日である5月12日を除くと、反訴原告が売買した日は
12日である(甲第12号証の1~13「売買報告書及び売買計算書」)。
反訴原告の取引は、高嶋が取引の開始から6月9日の売買まで担当
し、引継ぎを経て、堺が6月25日の売買から7月30日の最終決済
まで担当している。
高嶋、堺ら反訴被告の取引担当者は、反訴原告と密接に連絡をとり、
十分に検討と打ち合わせの上、反訴原告から売買の指示を受け、また
は、反訴原告が同意、承諾した売買についてのみ執行したものである。
また、高嶋、堺ら取引担当者は、売買の都度、約定値、損益・建玉
の値洗い状況等を反訴原告に報告し、重ねて、原告コールセンター課
員項文浩は、売買の当日遅くとも翌日午前中には、直接、反訴原告に
架電し売買の報告を行った。
 加えて原告は、売買の翌日中に「売買報告書及び売買計算書」を反
訴原告宛て発送し、売買の結果を目視確認させ、かつ、毎月第2金曜
日後に「残高照合通知書(甲第13号証の1から3」を発送し、反訴
原告の取引の状況を総合的に通知している。
 以上のとおり、原告は、二重三重の報告によって、反訴原告に売買
の確認と点検の便宜を供し、また、反訴原告の取引への習熟と理解を
進める一助となるよう努めている。
 したがって反訴原告は、損失の発生を反訴被告に責任転嫁し、もっ
て金員を要求するからには、反訴被告がこのような報告体制に基づい
て報告をなし、反訴原告が現実にその報告を受領していたことについ
ては口をつぐむしかない。
 また、反訴原告は、7月2日、「売買の一切について自己の責任で行
っているものであり、7月2日までの取引を確認した上で取引の継続
を行う」旨自署した「確認書(甲第15号証)」を堺に差し入れたが、
当然のことながらこの「確認書」についても一切言及していない。


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